日本小児外科学会雑誌
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原著
小児血液・悪性固形腫瘍患者に対する鎖骨上アプローチを用いた腕頭静脈穿刺による中心静脈カテーテル挿入術の検討
中目 和彦 桝屋 隆太永澤 俊中川 緑山田 愛木下 真理子上村 幸代盛武 浩家入 里志七島 篤志
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ジャーナル オープンアクセス

2024 年 60 巻 2 号 p. 158-165

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抄録

【目的】中心静脈カテーテル(CVC)は小児血液・悪性固形腫瘍患者の治療において使用される.近年,安全なCVC挿入法としてin-plane法を用いた超音波(US)ガイド下鎖骨上アプローチによる腕頭静脈穿刺CVC挿入術が報告されている.

【方法】小児血液・悪性固形腫瘍患者を対象にout-of-plane法を用いて内頸静脈にトンネル型CVCを挿入した群(IJV群)とin-plane法を用いて腕頭静脈に挿入した群(BCV群)について患者背景,手術成績,合併症を後方視的に比較検討した.

【結果】34名の患者に対し,計40回(IJV群:n=15,BCV群:n=25)のトンネル型CVCが挿入された.患者背景,術前血液凝固検査値は両群間に有意差はなかった.手術時間中央値(IQR)はIJV群:30分(27~33),BCV群:25.8分(22~27)であり,BCV群で有意に手術時間が短縮された(p=0.0026).術中合併症はIJV群で1例(6.7%)認め,BCV群では認めなかった.CVC維持管理中の合併症はIJV群:10例(66.7%),BCV群:17例(68%)であり,両群間で有意差は認めなかった.カテーテル関連血流感染はIJV群:10例(66.7%),BCV群:12例(52%)に認め,有意差はみられなかった.CVC留置期間中央値(IQR)はIJV群:273日(172~363.5),BCV群:152日(101~280)であり有意差を認めなかった.

【結論】リアルタイム超音波ガイド下鎖骨上アプローチによる腕頭静脈穿刺術は小児血液・悪性固形患者に対しても安全な手技と考えられた.

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