日本小児外科学会雑誌
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原著
片側LPEC時の対側予防手術に関する検討
駒橋 充 石岡 茂樹細田 利史
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2024 年 60 巻 2 号 p. 153-157

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抄録

【目的】近年,多くの施設で小児鼠径ヘルニアに対してlaparoscopic percutaneous extraperitoneal closure(以下,LPEC)が標準術式とされている.片側の鼠径ヘルニアの場合,術中に対側の内鼠径輪の開大を認めることがあり,多くの施設では症状がなくても発症予防に手術をしていると思われる.しかし,対側開大例全例に予防手術をすることについては過大手術とする考えもあり一致した見解は得られていない.予防手術の適応を決めるために当科で経験した症例を検討した.

【方法】当科で手術した術前診断が片側鼠径ヘルニアでLPECを施行した259例を対象とした.対側腹膜鞘状突起開存例のうち,男児では10 mm以上,女児では5 mm以上の開大を認めた症例のみに予防手術を行った.術後対側発症の有無を含め診療録をもとに後方視的に検討した.

【結果】5例に術後対側発症を認めた.術中に対側腹膜鞘状突起開存を認めたのは95例(36%)であり,そのうち当科の処置基準に基づき処置を行ったのは46例で49例は経過観察とした.術後対側発症した5例中4例は経過観察した症例(対側非介入症例の1.9%)であり,1例は対側処置後の再発であった.

【結論】当科ではなるべく対側処置を行わない方針としており,対側予防手術をする症例を限定しているが,術後対側発症率は既報告と比較して低かった.対側予防手術は対側開大が男児で10 mm以上,女児で5 mm以上の開大を基準とできる可能性が示唆された.長期的な経過を含め,今後の症例の蓄積による検討が望まれる.

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