日本小児外科学会雑誌
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原著
小児外科疾患を原疾患とする「動ける医療的ケア児」の就園・就学における課題
荒 桃子 土畠 智幸
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2024 年 60 巻 5 号 p. 783-787

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抄録

【目的】日常的に医療的ケアを必要とする児(以下,医療的ケア児)は年々増加傾向にあり,2021年時点で全国に2.0万人いるとされている.医療的ケア児の中には中心静脈栄養や経腸栄養,導尿などを要する小児外科疾患を原疾患とする児も含まれ,彼らの多くは精神・運動発達に大きな障害のないいわゆる「動ける医療的ケア児」である.このような小児外科疾患を原疾患とする医療的ケア児が生活・成長していく上で抱える課題を明らかにする.

【方法】2022年6月30日の開設から2023年6月までに北海道医療的ケア児等支援センターに問い合わせのあった案件のうち,小児外科疾患を原疾患とする医療的ケア児の相談内容と対応について支援記録から後方視的に検討した.

【結果】期間中,特定の医療的ケア児に関する新規相談172件のうち,小児外科疾患を原疾患とする医療的ケア児に関する相談は5件あった.原疾患は,全結腸型Hirschsprung病,Hirschsprung病類縁疾患,先天性横隔膜ヘルニアと臍帯ヘルニアの合併,先天性食道閉鎖症に伴う気管軟化症,総排泄腔遺残であった.いずれも未就学児であり幼稚園や保育園の利用についての相談と修学に向けての支援体制作りの相談であった.病院主治医や地域の保健機関,教育機関と連携や,医療的ケア児を受け入れる保育園の情報収集,情報提供,保育所・教職員への研修などを行った.

【結論】小児外科疾患を原疾患とする医療的ケア児の就園・修学については,受け入れる側の不安軽減のための助言や研修などに小児外科医が積極的に関わり,医療的ケアの必要ない子ども達と同等の教育機会,社会活動が保証されることが望まれる.

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