2024 年 60 巻 5 号 p. 788-796
【目的】重度の上気道閉鎖疾患を合併した児の救命率向上を目的とし,出生直後の気道確保が困難であった,もしくは困難と予測された新生児症例の実態を把握し,周産期管理および治療戦略について検討する.
【方法】対象は2014年9月から2023年9月までに,岩手医科大学附属病院で出生した2,909人のうち,出生直後の気道確保困難に対し小児外科医の介入を要した症例を対象とした.各症例の出生前画像診断,周産期経過,出生後の治療,転帰などを診療録から後方視的に検討した.
【結果】対象症例は5例で,そのうち胎児診断よりEx utero intrapartum treatment procedure(以下EXIT)を検討した症例は4例あった.実際にEXITを選択した症例は3例で,出生前にCHAOS(congenital high airway obstruction syndrome)と診断した喉頭閉鎖症は長期生存しているが,気管無形成はEXIT下でも気道確保できず死亡した.頸部リンパ管奇形は気道確保するも,後に原疾患で死亡した.1例は気道確保困難の予測外で出生し,緊急で気道確保を行うも救命できなかった.一方,出生前診断に基づく厳重な準備下であればEXIT下ではなくても救命できた症例もあった.長期生存例は呼吸状態が安定しても,嚥下機能や発声を獲得するため専門施設へ紹介が必要であった.
【結論】出生直後に気道確保が困難な症例では集学的治療を要し,出生前に可能な限り準備を整えることが救命率向上に繋がる.そのためには,各地域において周産期医療を集約し体制強化に努めることが重要である.