日本小児外科学会雑誌
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症例報告
生体肝移植時の摘出肝に肝細胞癌を認めたミトコンドリアDNA枯渇症候群の1例
内田 康幸松浦 俊治 梶原 啓資前田 翔平鳥井ヶ原 幸博玉城 昭彦髙橋 良彰田尻 達郎
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2024 年 60 巻 6 号 p. 949-953

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抄録

MPV17関連ミトコンドリアDNA枯渇症候群は変異遺伝子によっては生命予後不良であるが,肝移植後の生存例も認める.一方肝移植前に神経学的障害を有する症例は予後不良であることや,肝細胞癌の合併も報告されており,肝移植の適応に関しては一定の見解が得られていない.摘出肝に肝細胞癌を合併した1例を経験したので報告する.症例は1歳時に肝機能障害の増悪と脳症を呈し,肝生検にてミトコンドリアDNA量の低下と,遺伝子変異NM_002437.5:[c.293C>T];[c376-1G>A]を認めMPV17関連ミトコンドリアDNA枯渇症候群と診断された女児である.14歳時に非代償性肝硬変に対して生体肝移植を施行した.肝移植前血液・画像検査では肝細胞癌を疑う所見を認めなかったが,摘出肝に肝細胞癌を認めた.肝移植後2年経過し神経障害の緩徐な増悪傾向を認めるが,拒絶反応や肝機能障害,肝細胞癌の再発は認めていない.

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