2025 年 61 巻 2 号 p. 158-165
【目的】胆道閉鎖症診療ガイドライン(以下,CPG)の改訂にあたり,CPG公開前後の診療実態を調査し,CPGが診療の標準化にもたらす影響を検討した.
【方法】日本胆道閉鎖症研究会会員施設を対象に,診療実態とCPG活用状況・評価に関してCPG公開前後にアンケート調査を行い比較した.
【結果】公開前127施設中76施設(59.8%),公開後144施設中84施設(58.3%)より回答を得た.過去5年間の手術経験は,経験がないが24%,1~4例が43%,5~14例が27%であった.CPG利用状況は,回答施設の8割以上で活用され,CQ数,適合度,分かりやすさ,アルゴリズムの有用性はいずれも8割以上で一定の満足が得られていた.CPGで「行うことを提案する」とした便色カードは「有効である」との回答が増加していた.術前診断として「行わないことを提案する」とした肝生検は施行施設が増加していた.手術時期は30日以内の手術について,公開前調査で「必要」との回答が37%であったのに対し,公開後調査で「早いほどよい」が41%,「生後30日以内」が19%と早期手術の重要性がより認知されていた.腹腔鏡手術は「全例を対象としている」3%,「症例に応じて施行している」5%,「施行していない」92%であった.CPGで「推奨なし」とした術後ステロイドは「投与する」が公開前89%に対し公開後82%とやや減少していた.CPGで「推奨を提示すべきではない」とした一次肝移植要件のPELDスコアは考慮する施設が減少していた.
【結論】本CPGは活用されており,改訂での新規エビデンスの追加でより診療の標準化と治療成績向上が期待される.