2025 年 61 巻 2 号 p. 166-170
症例は2歳男児.1歳時に頸部正中の腫瘤に気付き,CTで舌骨尾側に囊胞を認め単発性の甲状舌管囊胞(本症)と診断した.2歳時に超音波検査で3つの小さな低エコー領域(後述参照)を描出し,MRIで舌骨尾側の囊胞と舌骨頭側に近接する小囊胞を2つ認めた.2歳2か月時に手術を施行した.舌骨を切離後,舌骨に付着する主囊胞と小囊胞1つを確認したが,通常の瘻管切離ラインまで剥離しても残る1つの囊胞は視認できなかった.術中超音波検査によって,舌筋内の囊胞を確認し,core outを進め囊胞を完全摘出した.本症の多くは舌骨尾側に生じる単発性の囊胞であり,多発性は極めて稀である.多発性の内,特に舌筋内に小囊胞を有する本症では,手術操作によって舌骨と囊胞の位置関係に変化が生じる場合があり,通常の切離ラインでは囊胞遺残が生じる可能性がある.このような症例において,舌筋内の囊胞および瘻管の同定には術中超音波検査が有用である.