日本小児外科学会雑誌
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原著
卵巣茎捻転に対する卵巣温存手術は実施されていたか
―一小児病院の経験―
狩野 元宏 古金 遼也橋詰 直樹小林 完森 禎三郎渡辺 栄一郎高橋 正貴藤野 明浩米田 光宏金森 豊
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2025 年 61 巻 4 号 p. 717-722

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抄録

【目的】卵巣茎捻転は急性腹症として外科的介入を要する病態で,小児外科医が診療する機会が多い.手術では原則として卵巣を温存すべきとされるが,小児では卵巣茎捻転時に卵巣切除を選択する施設が未だ少なくないと報告されている.本研究では当院の卵巣手術症例を振り返り,卵巣茎捻転や卵巣の切除・温存の有無,病理組織診断などから茎捻転症例に対する卵巣温存の可能性について検証し報告する.

【方法】2002年から2021年3月に当院で卵巣疾患に対して手術介入を行った20歳以下の症例のうち,新生児期に診断された7例を除く68症例について後方視的に診療録を参照し,データを抽出しまとめた.卵巣茎捻転があったものをT+群,なかったものをT-群として検討した.

【結果】対象期間中に68症例74件(T+群30件,T-群44件)の手術介入がなされた.捻転を疑い緊急手術を実施したのは31件(T+23件,T-8件)だった.T+群の術式は捻転解除1件,卵巣固定術0件,核出14件で,卵巣温存目的の二期的手術は実施されていなかった.卵巣切除は15件,うち9件は完全な梗塞壊死にも至っていない病理組織診断可能な良性腫瘍で,後方視的には安全に卵巣温存ができた可能性のある症例だった.一方T-群で卵巣を切除されたのは9例,うち3例が良性だったが,いずれも悪性が考慮されていた.

【結論】卵巣茎捻転に対する術前検査で良悪性が十分に判断できない症例においては,二期的手術を含む卵巣温存を志向した治療戦略をとることで,卵巣温存が可能な症例が増加する可能性が示唆された.

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