2025 年 61 巻 4 号 p. 755-761
一期的切除困難で転移巣を有する仙尾部卵黄囊腫瘍(yolk sac tumor; YST)の詳細な報告は少ない.今回,我々は多発転移を伴った仙尾部YSTに対して集学的治療を行い,合併症なく寛解を得られた症例を経験したので報告する.症例は1歳7か月女児.臀部膨隆の偶発的発見で精査し,リンパ節・肺・肝に転移を伴う巨大な仙尾部YST(Altman III型)と診断した.化学療法(BEP療法)を先行し,腫瘍縮小が得られたのち手術を施行した.腹腔鏡を用いた腹腔内観察とリンパ節生検を行い,臀部から尾骨を含む腫瘤全摘術を行った.術後に明らかな膀胱直腸障害はなかった.術後化学療法で肺転移巣は消失し,肝転移巣は残存したが,活動性は低いと判断し経過観察とした.治療終了後,約11か月時点でAFPは正常で画像上の明らかな再発はない.巨大な仙尾部YSTにおいて,予後決定の重要な因子である完全切除の達成には適切な化学療法とともに,臀部及び腹腔内検索を併せたアプローチが有効と考える.