2025 年 61 巻 6 号 p. 913-919
メッケル憩室穿孔(以下,本症)は比較的稀で,術前診断は困難である.今回,術前診断し得た本症の1例を経験した.症例は8か月,男児.血便を主訴に当科を紹介受診した.腹部造影CT検査にて,小腸に連続して盲端となる管腔構造と周囲の微小な腸間膜内ガス像を認め,メッケル憩室出血・腸間膜内穿通の診断で保存的加療を開始した.しかし,発熱が改善せず腹部膨満や炎症反応の上昇がみられるようになったため,穿孔性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.臍縦切開で開腹し,腹腔鏡下に観察したが穿孔部位の同定が困難で,皮膚切開を20 mm延長して開腹手術に移行した.バウヒン弁から口側30 cmの回腸腸間膜対側に憩室を認め,中央部が穿孔していた.憩室を含めた病変部腸管を切除し,端々吻合した.病理組織学的検査では憩室内腔に小腸粘膜とともに胃粘膜組織を認めた.術後経過は良好であった.本症を術前診断し得たことにより,低侵襲な術式で良好な転帰を得ることができた.