日本小児外科学会雑誌
Online ISSN : 2187-4247
Print ISSN : 0288-609X
ISSN-L : 0288-609X
症例報告
結腸全摘術を施行した結腸重複症の一小児例
―症例報告と本邦報告例の文献的考察―
八木 悠池田 修斗東堂 まりえ三藤 賢志高間 勇一神山 雅史佐々木 隆士
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2025 年 61 巻 6 号 p. 937-942

詳細
抄録

症例は生後10か月男児.近医で腹部腫瘤を指摘されて当院を受診し,腹部CTと注腸造影の所見から,横行結腸に入口部があり直腸S状結腸部で盲端に終わる管状型結腸重複症が疑われた.腹腔鏡補助下で手術を開始したところ,入口部と判断したものは途中の共通壁に形成された瘻孔であり,重複腸管はさらに回腸末端から15 cm口側まで連続していることが判明し,家族とも相談して全重複腸管を含む結腸全摘,回腸直腸端々吻合再建術を施行した.重複腸管の治療の基本は完全切除とされているが,結腸全摘の本邦における小児報告は検索しえた限り自験例が最初であった.術後1年現在,止痢剤は必要であるものの経過は順調であり,短期的な結果については十分満足できるものであるが,今後の中長期にわたる経過観察のもとでその妥当性を判断する必要がある.

著者関連情報
© 2025 特定非営利活動法人 日本小児外科学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top