2025 年 61 巻 6 号 p. 937-942
症例は生後10か月男児.近医で腹部腫瘤を指摘されて当院を受診し,腹部CTと注腸造影の所見から,横行結腸に入口部があり直腸S状結腸部で盲端に終わる管状型結腸重複症が疑われた.腹腔鏡補助下で手術を開始したところ,入口部と判断したものは途中の共通壁に形成された瘻孔であり,重複腸管はさらに回腸末端から15 cm口側まで連続していることが判明し,家族とも相談して全重複腸管を含む結腸全摘,回腸直腸端々吻合再建術を施行した.重複腸管の治療の基本は完全切除とされているが,結腸全摘の本邦における小児報告は検索しえた限り自験例が最初であった.術後1年現在,止痢剤は必要であるものの経過は順調であり,短期的な結果については十分満足できるものであるが,今後の中長期にわたる経過観察のもとでその妥当性を判断する必要がある.
