日本小児外科学会雑誌
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症例報告
超音波検査による術前診断が可能であった小児鼠径ヘルニア偽還納の1例
岡野 寛 笠井 智子高見澤 滋好沢 克入江 友章足立 綾佳
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2026 年 62 巻 1 号 p. 79-84

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抄録

小児では稀な鼠径ヘルニア偽還納を超音波検査により術前診断しえた症例を報告する.症例は1歳0か月の男児.右鼠径ヘルニア嵌頓に対し前医で徒手整復が行われたが,帰宅後も嘔吐が持続したため翌日再診し精査加療目的に当院に搬送された.身体所見では鼠径部の腫脹はなく右停留精巣を認めた.病歴と超音波検査所見から右鼠径ヘルニア偽還納による腸閉塞と診断し,同日腹腔鏡手術を施行し,嵌入した終末回腸を整復した.ヘルニア門の形態から,de novo型外鼠径ヘルニアの偽還納と診断した.腹膜の肥厚により精管,精巣動静脈の同定が困難であり,初回手術はヘルニア門の縫合閉鎖を行い,二期的に内鼠径輪の縫縮と精巣固定術を行う方針とした.術後経過は良好で,4か月後に鼠径部切開法による二期目手術を実施した.小児例は少ないが,鼠径ヘルニア嵌頓整復後の合併症として鼠径ヘルニア偽還納は考慮すべき病態である.診断には腹部超音波検査が有用である.

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