2026 年 62 巻 4 号 p. 883-889
小児のフルニエ壊疽は稀であるが,敗血症や多臓器不全を伴い致死的となることもある.今回,急性リンパ性白血病(ALL)治療中にフルニエ壊疽を発症した患児を救命し得たため報告する.症例は3歳女児.ALL再寛解導入療法中に敗血症性ショックを呈した.ショックは改善したが左殿部びらんが出現し,軟部組織感染症を疑われ,第4病日に当科紹介となった.CTにて膿瘍形成やガス像は認めなかったが,翌日殿部病変が拡大し,フルニエ壊疽疑いとしてS状結腸人工肛門造設,筋膜減張切開,デブリードメントを施行した.第12病日に下腹部への壊死性筋膜炎拡大に対し追加切開を行い,第37病日に直腸壊死に対する腹腔鏡補助下直腸切断術を施行した.第77病日の植皮術を経て,第97病日から化学療法再開に至った.フルニエ壊疽は診断の遅れが重篤化につながるが,免疫抑制下では膿瘍形成などの典型的画像所見を欠くこともあり,丁寧な身体診察に基づいた経時的な評価が極めて重要である.