2026 年 62 巻 5 号 p. 958-963
低位鎖肛術後の5歳男児.腹痛と嘔吐を主訴に受診し,腸閉塞を疑われ当院へ搬送された.来院時ショックを呈し腹部膨満と下腹部全体に圧痛を認めた.造影CTで右上腹部に虚脱腸管の集簇(sac-like appearance)と肛門側の拡張腸管を認め,傍十二指腸ヘルニア(paraduodenal hernia: PDH)による絞扼性腸閉塞を疑い,緊急手術を行った.右結腸間膜と後腹膜の癒合不全部がヘルニア門となり小腸が嵌頓していた.ヘルニア門を開大するとメッケル憩室を軸とした回腸捻転を認め,解除後に回腸部分切除を行った.空腸はTreitz靭帯を形成せず椎体右側を走行していた.右PDHでは再発予防のためヘルニア囊の開放を行うことが多いが,腸回転異常合併例では上腸間膜動脈や回結腸動脈がヘルニア門近傍を走行することがあるため,損傷に留意する必要がある.
本症例は術前CTで右PDHを想定し得た点とヘルニア囊内でメッケル憩室を軸とした回腸捻転というまれな機序で絞扼性腸閉塞を来した点が特徴的であり報告する.