デスモイド型線維腫症は局所浸潤性と高い再発率を特徴とする良悪性中間群腫瘍で,小児例,特に男児の腹壁発生は極めて稀である.今回,5年以上無再発で経過している2歳11か月男児の腹壁デスモイドを経験した.初診時,腹壁筋層内に14 mmの腫瘤を認め経過観察としたが,1年8か月で34 mmに増大したため摘出術を施行した.病理組織学的には紡錘形細胞の増殖とβ-catenin核内発現を認め,デスモイドと診断した.術後5年以上再発を認めていない.小児腹壁デスモイドは報告例が少なく,腫瘍局在や年齢・性差と再発率の関連は明らかでないがCTNNB1遺伝子変異,特にS45F変異は高い局所再発リスクと関連するとされる.ガイドラインでは無治療経過観察が推奨されるが,増大傾向例では手術が選択肢となる.自験例では腫瘍増大を契機に切除を行い良好な長期経過を得た.小児腹壁デスモイドの治療では腫瘍の増大速度や局在を慎重に評価し,適切なタイミングでの外科的介入が重要である.