2026 年 62 巻 6 号 p. 1064-1073
症例は14歳男子.8か月前から呼吸困難があり気管支喘息として加療されるも改善せず,当院に紹介された.造影CT検査で右胸腔内に20 cm大の腫瘤を認め,縦隔は左側へ偏位し,右主気管支は狭小化し,右肺は虚脱していた.針生検を施行しデスモイド腫瘍と診断した.呼吸状態が増悪し窒息のリスクが切迫しており,oncologic emergencyとして覚醒下に体外循環を確立し,手術を行った.腫瘍が浸潤していた重要臓器を温存しつつ,約80%の腫瘍を摘出した結果,気道閉塞は解除され救命し得た.術後pazopanibの投与を行い残存腫瘍の若干の縮小を認めたが,副作用と思われる創部離開が出現し投与を中止し,methotrexate/vinblastineによる薬物治療に切り替えた.術後11か月からpazopanibを再開し,腫瘍の再増大なく術後47か月経過している.併せて本邦小児報告95例を文献的に検討した.