抄録
Trussel & Greenlee(2004)等による財務的脆弱性のモデルの妥当性を、日本・まちづくりNPO法人のデータを用いて検証した。本稿は、3年後の正味財産・収入比率が一定率以下に減少する法人を財務的脆弱法人と定義する。データは、19都道府県の2014年~2020年間の事業報告書に基づく。Trussel & Greenlee(2004)等の各モデルの妥当性は、平常時(2014年~2017年)のデータにより統計的に確認された。コロナ期(2017年~2020年)のデータにより、Trussel & Greenlee(2004)モデルの妥当性は、まちづくりNPOの全法人について統計的に確かめられた。Tuckman & Chang(1991)モデルの妥当性は、まちづくりNPO法人の大部分について、統計的に確認された。 また先行研究と異なり、管理費率が高い法人ほど財務的脆弱法人に陥る可能性があることが示された。