抄録
乳頭状ポリープ型気管支原発早期扁平上皮癌6切除例を臨床病理学的に検討し, さらに非乳頭状ポリープ型早期扁平上皮癌と比較検討した。乳頭状ポリープ型癌の基底層の細胞形態, および, 中∿表層の分化傾向は多様であったが, 非乳頭状ポリープ型癌と光顕および電顕細胞形態学的に類似点が見られ, また非乳頭状ポリープ型癌の一部には, 乳頭状ポリープ型の増殖形態を示す所もあり, さらに両者の中間型的な発育形態を示す癌も見られる等の点から, 両者の関連が示唆された。腫瘍細胞の性質のみならず, 宿主側の反応等も関与し血管の豊富な樹支状間質の増生がみられ, 乳頭状ポリープ型の形態を呈する可能性が考えられた。年齢, 発生部位, 胸部レ線の粒状, 輪状影の程度, 肺機能および喫煙指数に関しては, 乳頭状ポリープ型癌と非乳頭状ポリープ型癌との間に差は認められなかった。喫煙指数は高く, 発癌への関与が示唆されたが, 隣接上皮は正常上皮が多く, 非乳頭状ポリープ型癌において見られた上皮の異形成や異型性を有する基底細胞の増生および扁平上皮化生等は観察されなかった。