気管支学
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気管支閉塞術による難治性気胸の治療 : バルーンカテーテルおよびフィブリングリューの使用について
村松 高大畑 正昭飯田 守大森 一光伊良子 光正北村 一雄中村 士郎小笠原 弘二山田 太郎瀬在 幸安
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1989 年 11 巻 4 号 p. 357-363

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抄録
自然気胸の治療法については, 保存的療法から両側同時開胸まで種々あり, 現在, 開胸手術の適応についてはほぼ確立されている。そして長期胸腔ドレナージ施行後もair leakageが消失しない難治性気胸も, 開胸手術の適応ではあるが, その中には全身状態が不良であるため手術ができない症例も散見される。このような症例9例に対して今回我々は, 気管支ファイバースコープ下にフォガティーバルーンカテーテル(Forgaty balloon catheter)による閉塞試験にて所属気管支を確認後, 気管支閉塞術を施行した。充填物質ははじめの2例には細断スポンゼルを, その後の7例にはフィブリングリュー(Fibrin glue)を使用した。その結果, 気管支閉塞術直後からair leakageの消失あるいは減少を確認し, 約1週間から2週間目にはほぼ全例の胸腔ドレーンを抜管できた。また閉塞部位の肺炎, 肺化膿症, 膿胸等の合併症は認められず, また現在のところ再発もない。また充填物質であるフィブリングリューの気管支閉塞後の経過について雑種成犬を用いて観察した。その結果, フィブリングリューは, 閉塞後1週間以内に気管支から消失し, また炎症細胞の浸潤が軽度であることから安全性の高い充填物質と考えられた。この方法は全身状態不良で手術のできない難治性気胸に対して簡便かつ安全であり, また有効であるためその治療として選択される一方法と考える。
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© 1989 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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