抄録
成因の異なる気管支食道瘻の3例を報告する。症例1は56歳の男性で, 上部消化管造影で偶然に発見された気管支食道瘻である。瘻孔は食道中部と右肺S^6との間に存在し, Braimbridge I型の先天性気管支食道瘻と診断された。症例2は, 慢性膿胸の71歳, 男性で, 気管支胸腔瘻および食道胸腔瘻の存在が確認され, 胸腔を介した後天性炎症性の気管支食道瘻と考えられた。症例3は33歳の女性で, 肺腺癌(stage IV)と診断された。CDDP, ADM, 5-FUを3クール施行後に, 胸痛および嚥下時の咳嗽発作が出現し, 内視鏡にて気管支食道瘻が発見された。本症例は, 化学療法により食道周囲の縦隔リンパ節が壊死に陥り, 瘻孔を形成したものと考えられた。