抄録
内視鏡下に摘除し得た気管支異物を6例経験した。異物の種類は, 誤嚥した骨が3例, 歯科関連物質が2例, 術後の縫合糸が1例であった。胸部X線像では, X線非透過性異物2例, X線透過性異物4例であった。また, 誤嚥の既往が明らかな症例は1例のみであった。摘出は全例気管支鏡下に, 種々の鉗子やフォガティ・カテーテルを用いて摘出できた。気道異物の診断には, 詳細な問診と共にX線非透過性異物では胸部X線像が有用であったが, 誤嚥などの記憶が不詳な場合も多く, 積極的な気管支鏡検査が必要であった。気管支鏡による異物の摘出には, 異物の種類, 気管支粘膜の炎症程度, 炎症性肉芽形成の有無により種々鉗子を使い分け症例によっては抗生剤投与により肉芽消失後に摘出を試みたり, またフォガティ・カテーテルを使用するなどの工夫が必要であった。