抄録
気管・気管支の炎症性ポリープは, 比較的稀な疾患である。今回我々は, 気管支結核の治療経過中に発生した気管支炎症性ポリープの1例を経験した。症例67歳の男性, 喀痰で結核菌塗抹陽性(ガフキー4号)を指摘され, 気管支鏡にて左B^6に白苔に被われた潰瘍性病変を認めた。抗結核剤投与4カ月目, 左B^6入口部に有茎性の小ポリープを認めた。6カ月目には, このポリープは増大, B^6をほぼ閉塞し, 生検鉗子にて容易にポリープは全摘された。大きさ7×4×4mm, 表面平滑, 黄白色調で柔らかく, 病理組織学的には非特異的炎症性ポリープと診断した。気管支炎症性ポリープの原因の一つとして, 結核が考えられているが, 本症例は, 気管支結核の病変に続発した炎症性ポリープであり, その全過程を観察し得た貴重な症例と考えられた。