1991 年 13 巻 3 号 p. 307-311
61歳男性の肺癌患者の気管支鏡検査で発見された微小気管支平滑筋腫の1例を報告した。胸部X線写真上右S1に腫瘤状陰影を認めた。気管支鏡検査では右B1には異常なく, 左B6と底幹の分岐部に表面平滑で光沢のある約1×1×2mmの微小腫瘤を認めた。鉗子生検で平滑筋腫と診断された。右S1の腫瘤は擦過細胞診でClass Vで肺癌と診断し, 右上葉切除術が施行された。切除肺の肺癌の組織型は大細胞癌であった。術後4カ月後に再度気管支鏡検査を施行したが, 気管支平滑筋腫は鉗子生検により完全に摘除されたことを確認した。気管支平滑筋腫と肺癌の合併は本邦2例目であるが偶然の合併と思われる。本邦で最小の気管支平滑筋腫の1例を報告した。