抄録
肺扁平上皮癌切除例中,肺葉切除ないし肺摘除術にR_2リンパ節郭清を行い術後病理組織学的に気管支断端に遺残を認めた12例を対象とし,気管支壁に遺残した癌の占拠部位にょり上皮内限局型(4例)と壁内型(3例),壁外型(5例)に分類して術後成績を検討した。上皮内限局型は最も予後良好で,癌遺残がわずかな場合では術後無治療で5年以上も再発なく健在である症例のあることも知られた。壁内型は術後照射の有無に関係なく全て局所再発を認めたが,リンパ節転移を認めなかった1例は再発巣への照射後1年の現在再々発を認めず健在である。壁外型は既にリンパ節転移や気管支周囲リンパ管浸潤が高度で全例再発死した。