抄録
原発性肺癌切除例で,術中凍結切片による組織学的検索がなされ,術後組織学的に断端陰性と診断した29例と,術中凍結切片は必要とせず術後組織学的に断端陽性と診断した4例の,計33例について検討を行った。33例中,気管・気管支形成術を施行したのは8例であった。術中凍結切片にて断端陰性で術後断端再発を認めたのは5例で内4例は癌死した。全例術後放射線療法を行っていない。又,断端陽性であった症例でも,術後放射線療法を行う事で断端再発を全例認めておらず,長期生存例も経験している。術後断端再発例,術後断端陽性と判明した症例はいずれも腫瘍から断端までの肉眼的距離が15mm以内で組織は扁平上皮癌であった。以上より術中迅速標本にて気管支断端が陰性でも,術後放射線治療を考慮する必要があると思われた。