1994 年 16 巻 6 号 p. 533-538
肺野結節性病変に対する経気管支的診断法のうち生検組織診が最も有用であると思われるが, 病巣の存在部位によっては鋭匙による擦過細胞診は可能であっても生検鉗子が到達しないこともある。そこで生検鉗子の誘導をより確実にする目的で5Fr×90cmテフロンシース(以下シース)を用いて新しい試みを行った。対象は肺野結節性陰影を有し, 鋭匙の到達は可能であるが通常の方法では生検鉗子が到達し得なかった5例である。シース内に鋭匙を装填してX線透視下に病巣部に到達させ, 鋭匙をガイドとしてシースを送り込んで鋭匙を生検鉗子に交換して病巣の生検操作を行った。5例中3例において診断に有用な生検材料の採取が可能でありその病理組織診断は腺癌2例, 類上皮肉芽腫1例であった。全例でシース挿入にともなう合併症は特に認めず, 咳嗽反射や出血量も通常の手技と大差なかった。本法はシースを準備しておけば通常の検査に続いて行うことができるので必要な症例には試みるべきと思われた。