1994 年 16 巻 6 号 p. 551-556
気管支平滑筋の迷走神経伝達におけるマクロライド系抗生物質の影響を, イヌ摘出気管支を用い検討した。エリスロマイシン(3×10^<-4>M)の投与によりフィールド電気刺激(EFS)に対する収縮反応は減弱し, 最大収縮の50%を惹起する刺激周波数(ES_50)は, 1.3±0.3から5.1±0.5Hzに増加した(P<0.001)。この抑制作用は濃度依存性で, プロプラノロール, インドメタシン, ウアバインおよび気道上皮剥離による有意な影響は認められなかった。一方, アセチルコリンに対する収縮反応はエリスロマイシンの影響を受けなかった。以上の成績より, エリスロマイシンは気道平滑筋における迷走神経からのアセチルコリン遊離に抑制的に働いている可能性が示唆された。