1994 年 16 巻 6 号 p. 557-560
症例は71歳, 男性。主訴は喀血。平成5年8月30日に突然喀血が出現し, 当科を紹介受診した。胸部単純X線写真では, 右上葉に空洞および菌球像を認め, 菌球型肺アスペルギルス症の疑いで同年9月27日に気管支鏡検査を施行した。右B^1aからの生検および擦過でアスペルギルスの菌塊を検出したが, その際B^1b入口部に表面平滑で光沢のある黄白色のポリープ状腫瘤を認めた。同部の生検で孤立性気管支乳頭腫と診断した。手術を拒否したため, 現在外来で経過観察中である。本症例は本邦報告31例目であり, 若干の文献的考察を加えて報告した。