気管支学
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軟骨片を喀出した気管支結核の 1 手術例
野村 友清荒井 他嘉司稲垣 敬三森田 敬知矢野 真伊藤 秀幸藤井 祐次小島 宏司山本 滋新野 史
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1994 年 16 巻 6 号 p. 587-590

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抄録

症例は48歳女性, 20歳時に, 結核にて3年間の抗結核療法を受けた既往がある。その後無症状に経過していたが, 咳嗽, 嗄声が出現し, 症状出現7ヵ月目頃より, 咳嗽とともに数回にわたり, 馬蹄型の気管支軟骨片の喀出を認めるようになった。同時期に行った喀痰検査にて, 結核菌が検出された。気管支鏡検査にて, 左主気管支入口部は肉芽により狭窄し, 軟骨片と思われる白色弯曲した小片が気管支壁より突出していた。気管支鏡直前に喀出した馬蹄型の白色小片は, 病理学的に気管支軟骨であることが証明された。抗結核療法にもかかわらず, 左主気管支の瘢痕性狭窄が進行したため1年3ヵ月後, 左主気管支の気管支形成術を行った。気管支軟骨片の喀出は気管支結核の部分現象としては稀であり, 成因の検討とともに報告した。

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© 1994 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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