気管支学
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内視鏡的に経過を観察しえた気管支・縦隔リンパ節結核の 1 例
川口 真平小林 英夫桐生 拓司叶 宗一郎上部 泰秀永田 直一
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1994 年 16 巻 6 号 p. 582-586

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抄録

28歳男性の縦隔リンパ節結核において, 治療中に合併した気管支結核の内視鏡所見の経過を観察し得た。発熱, 前胸部痛を主訴に当科受診。胸部X線上右傍気管領域の開大を認めた。造影CTでは腫大した縦隔リンパ節に辺縁の造影効果と内部にモザイク状の多発性低濃度領域が認められた。縦隔リンパ節生検により乾酪壊死を伴う類上皮性肉芽腫を, 組織培養では抗酸菌を認め, 縦隔リンパ節結核と診断した。肺野病変は認めなかった。化学療法開始後に, 豆腐様物質の喀出が出現し, 気管支鏡にて気管右壁, 気管分岐部, 両主気管支に著明な炎症所見と4個のポリープ状病変を認めた。生検にて類上皮性肉芽腫を認め気管・気管支結核と診断した。治療の継続により症状は改善し, 10ヵ月後にはポリープ状病変は消失し, その基部にリンパ節結核の穿孔部位を示す炭粉沈着を認めた。

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© 1994 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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