肺血栓塞栓症治療中に発症し, 気管支肺胞洗浄(Bronchoalveolar lavage, 以下BAL)にて診断し得たびまん性肺出血の1例を報告した。症例は肺血栓塞栓症に対してワーファリンを投与していた61歳の男性。併発した肺化膿症およびIVHカテーテルによるカンジダ血症に対してCAZとMCZを投与中にびまん性間質性陰影が出現した。その後呼吸困難が出現し, 低酸素血症をみたが, 咳嗽, 血痰などはなかった。血液検査では貧血の進行と凝固異常がみられた。診断のためBALを施行したところ, 回収液が血性であったためびまん性肺出血と診断した。ワーファリンを中止し, ビタミンKおよびメチルプレドニゾロンを投与し, 症状・所見は軽快した。肺出血の原因としてビタミンK不足による凝固異常を疑ったが, 血中ビタミンK値の低下はなく, 凝固異常の主因はワーファリンと併用薬によるワーファリン作用の増強であったと考えられた。