気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
肺血栓塞栓症治療中に発症し, BAL にて診断し得たびまん性肺出血の 1 例
谷口 治子増本 英男松本 亮松元 信弘飯干 宏俊芦谷 淳一伊井 敏彦迎 寛松倉 茂
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 17 巻 5 号 p. 426-431

詳細
抄録

肺血栓塞栓症治療中に発症し, 気管支肺胞洗浄(Bronchoalveolar lavage, 以下BAL)にて診断し得たびまん性肺出血の1例を報告した。症例は肺血栓塞栓症に対してワーファリンを投与していた61歳の男性。併発した肺化膿症およびIVHカテーテルによるカンジダ血症に対してCAZとMCZを投与中にびまん性間質性陰影が出現した。その後呼吸困難が出現し, 低酸素血症をみたが, 咳嗽, 血痰などはなかった。血液検査では貧血の進行と凝固異常がみられた。診断のためBALを施行したところ, 回収液が血性であったためびまん性肺出血と診断した。ワーファリンを中止し, ビタミンKおよびメチルプレドニゾロンを投与し, 症状・所見は軽快した。肺出血の原因としてビタミンK不足による凝固異常を疑ったが, 血中ビタミンK値の低下はなく, 凝固異常の主因はワーファリンと併用薬によるワーファリン作用の増強であったと考えられた。

著者関連情報
© 1995 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top