気管支学
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びまん性汎細気管支炎に合併し, 自然消退した気管支原発悪性リンパ腫の 1 例
上田 幹雄岩崎 吉伸横村 一郎橋本 進一溝渕 一哉有本 太一郎後藤 武近中川 雅夫
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1997 年 19 巻 5 号 p. 383-386

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抄録

症例は72歳, 女性。10年前より近医でびまん性汎細気管支炎と診断され投薬治療されていた。最近, 血痰が出現するようになったため精査治療目的で当科に入院した。気管支鏡検査では, 左主気管支に光沢のある扁平な隆起性病変を認めた。同部の生検の組織像では, 比較的均一な小型リンパ球の一様な増殖からなり, 免疫組織化学的には4KB5, L26で陽性, UCHL-1, CD3で陰性であった。以上より気管支原発低悪性度B細胞リンパ腫と診断した。入院の継続治療を拒否し退院したが, 1年後再入院し気管支鏡検査を再検した。左主気管支には異常なく, 前回認めた悪性リンパ腫は自然消退したと考えられた。気管支原発低悪性度B細胞リンパ腫は, 気管支関連リンパ組織, bronchus-associated lymphoid tissue(BALT)発症と考えられるが, 本症例はびまん性汎細気管支炎による慢性気道炎症が発生母地となり, 炎症の改善により自然消退したと思われる。

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© 1997 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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