気管支学
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MRI にて Fluid-Fluid Level を呈した後縦隔気管支性嚢胞の 1 例
有吉 功内迫 博路塚本 勝彦松井 則親清水 建策清水 文め松本 常男松永 尚文
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1997 年 19 巻 5 号 p. 387-391

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抄録

症例は68歳, 男性。吃逆を主訴として受診。胸部X線写真において, 心陰影と重なる辺縁明瞭な類円形の陰影を認め, 胸部CTにて, 左肺底部に接する後縦隔に, 骨格筋とほぼ同等のCT値を示すも造影効果のない均質な嚢胞性腫瘤が認められた。心電図同期スピンエコー法MRIT1強調像においては, 腫瘤の中央付近を境として背側の高信号の領域とその腹側の低信号の領域とのfluid-fluid levelが認められた。またT2強調像では全体に均質で著明な高信号を呈していた。胸腔鏡下腫瘤摘出術を施行し, 病理学的に気管支性嚢胞と診断した。術中に漿液状および粘液状の内容物が流出したことから, 蛋白濃度の異なる内容物の共存により, fluid-fluid levelが形成されたと推測される。内容物が多様な気管支性嚢胞では, 出血の有無にかかわらず, MRIT1強調像において稀ではあるがfluid-fluid levelを呈する事は, 本症の診断上留意すべき点と思われる。

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© 1997 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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