1997 年 19 巻 5 号 p. 392-395
症例は64歳男性。4歳時に金属片を誤嚥, 近医受診したが摘出不能であったため放置された。2ヵ月後その金属片は便中より発見された。その後飲水時にむせることはあったが普通に生活していた。平成8年7月頃より(64歳時)発熱, 咳, 血痰出現し当院受診。気管支鏡にて左底幹区よりの出血と, 気管分岐部より手前5cmの所に径2cmの気管食道瘻を認め, 食道内視鏡でも気管への瘻孔が確認された。抗生剤投与, 気管支動脈塞栓療法施行し症状は全て軽快した。本症例は経過より異物による外傷性の気管食道瘻と考えた。外傷性の気管食道瘻で発症後60年もの長期間経過して指摘されることは珍しく文献的考察を加えて報告する。