1997 年 19 巻 5 号 p. 396-399
59歳, 男性。主訴は咳嗽, 血痰。胸部X線写真で右下肺野に4×3cmの辺縁明瞭な腫瘤影を認めた。気管支鏡検査では, 腫瘍はB^9気管支内腔に突出していた。生検にて, カルチノイドの診断であった。腫瘍はS^9に存在し, 肺門, 縦隔リンパ節転移が疑われたため, 右下葉切除術, 縦隔リンパ節郭清を施行した。病理学的所見では定型的カルチノイドで, #10リンパ節転移を認め, p-T2N1M0でstage IIであった。本症例は定型的カルチノイドであったが, 縮小手術よりも肺癌に準じた手術の適応であった。定型的カルチノイドに対する縮小手術の適応については, さらに症例を集積したうえで, より詳細な基準の設定が望まれる。