気管支学
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肺癌術後に気管転移を認めた 3 症例
三浦 隆田中 康一中城 正夫河野 洋三在永 光行庄司 剛卜部 省悟横山 繁生内田 雄三
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キーワード: 肺癌, 術後再発, 気管転移
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1997 年 19 巻 5 号 p. 422-425

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抄録

肺癌術後の気管転移は比較的稀であるといわれているが, 今回我々は術後の気管支鏡検査にて発見された気管転移症例を3例経験した。症例1は61歳男性, 肺小細胞癌にて右上葉切除後17ヵ月目に血痰が出現し, 気管支鏡検査にて下部気管に腫瘍を認め, 再発と診断した。放射線療法にて腫瘍は一時的に消失したが, 以後も3回気管内再発を繰り返し, そのつど放射線療法を施行したが, 76ヵ月目に癌死した。症例2は73歳男性, 扁平上皮癌にて左肺全摘後15ヵ月目の気管支鏡検査で気管に多発性の小ポリープを認め, 再発と診断した。放射線療法にて腫瘍は消失し, 以後再発なく経過したが, 48ヵ月目に他病死した。症例3は66歳男性, 扁平上皮癌にて右中下葉切除後12ヵ月目の気管支鏡検査で気管に多発性の腫瘍を認め, 再発と診断した。放射線療法とCDDP少量持続投与による化学療法を施行したが, 術後21ヵ月目に癌死した。肺癌術後の気管転移は比較的稀であるが, 術後のfollow upの手段として気管支鏡検査を定期的に施行することは重要であると考えた。

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© 1997 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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