気管支学
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誘発喀痰検査法の臨床的有用性及び合併症について
中野 寛行相澤 久道松元 幸一郎吉田 誠高橋 直嗣高田 昇平井上 博雅古藤 洋原 信之
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1998 年 20 巻 5 号 p. 396-400

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抄録

気道より得られる情報の評価は呼吸器疾患診療に重要であり, 従来喀痰検査や気管支肺胞洗浄, 気管支生検等が行われていた。しかし, 喀痰検査は気管支鏡検査に比べて簡便で侵襲が少ないが, 反面常に検体が採取できるとは限らないことや検体が常に良好とは限らないなどの問題があった。そこで, 我々は肺癌, 肺結核, 気管支喘息が疑われた患者に対して, 誘発喀痰検査が臨床的に有用か否かを検討するため1)通常の喀痰検査と比較した際の臨床的有用性, 2)誘発喀痰検査の侵襲性を評価した。その結果117例中111例(94.9%)で検査可能な喀痰が採取された。肺癌, 肺結核疑いの症例では誘発喀痰はいずれも検体採取率, 診断率ともに高く, 気管支喘息では非喘息症例と比較して誘発喀痰中の好酸球数は有意に高かった。また, 検査の合併症としては, 悪心(3例), 気管支喘息発作(3例)のみで, スパイログラムや動脈血酸素飽和度の変化も認められなかった。以上より誘発喀痰検査は臨床上有用であると考えられた。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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