気管支学
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喀痰細胞診 E 判定で局在診断に難渋した微小末梢型肺扁平上皮癌の 1 切除例
沖津 宏川田 正史朝倉 奈都津田 洋田渕 寛佐尾山 信夫吉田 沖
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1998 年 20 巻 5 号 p. 425-428

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抄録

症例は69歳, 男性。肺癌検診にて喀痰細胞診E判定のため紹介となった。胸部X線およびCTにては異常所見なく, 気管支鏡検査にても可視範囲に肺癌の所見はなく, 気管支吸引液の細胞診および当科での喀痰細胞診にては異型細胞は得られなかった。3ヵ月後の気管支鏡再検査時の左右別洗浄細胞診にて右側より扁平上皮癌細胞が得られ, 1週後の再々検査にて同様に右下葉支より癌細胞が得られた。入院後, 右B^6よりの洗浄細胞診にのみ癌細胞を認めたが, thin slice CTにても腫瘤陰影は描出されなかった。以上より右S^6の末梢に発生したTXN0M0の扁平上皮癌としてS^6区域切除を行った。切除標本の病理組織診断はS^6cに発生した最大径2.8mmの微小な末梢型中分化扁平上皮癌で, 末梢気管支内腔に突出している所見を認めた。脈管侵襲像を認めたが, 郭清リンパ節には転移なく, pT1N0M0であった。

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© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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