気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
胸腔鏡下肺部分切除術により診断した肺放線菌症の 2 例
萩原 真一石井 芳樹北村 諭村山 史雄蘇原 泰則弘中 貢
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 20 巻 5 号 p. 429-433

詳細
抄録

経気管支肺生検(TBLB)にて診断不可能であった肺野末梢小結節に対して, 胸腔鏡下肺部分切除術にて診断し治療が可能であった肺放線菌症の2例を報告した。症例1は湿性咳嗽を主訴に右S^2の末梢の小結節性病変で, 胸膜の嵌入と血管の収束を伴い, 肺癌が疑われた。症例2は無症状で経過し人間ドックで胸部異常陰影として発見され, 画像上は左S^<1+2>の末梢の小結節で, 局所に胸膜の肥厚を伴っていた。2症例とも臨床症状は軽微か無症状であり, 画像上は肺野末梢の小結節で周囲の血管収束や近接する胸膜病変を伴い, 悪性腫瘍との鑑別が困難であった。胸腔鏡所見として2例とも局所での胸膜癒着を認めたが, 胸水は認めなかった。無症候性の小病変を形成する肺放線菌症は, 肺癌との鑑別上念頭におくべき疾患と思われる。胸腔鏡下肺切除術は本症の治療法として安全かつ有用と思われた。

著者関連情報
© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top