気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
気管支鏡検査を契機に急性心不全, 肺水腫をきたした SLE の 1 例
吉富 淳佐藤 篤彦千田 金吾早川 啓史須田 隆文八木 健田村 亨治妹川 史朗菅沼 秀基豊嶋 幹生中村 浩淑
著者情報
ジャーナル フリー

1998 年 20 巻 5 号 p. 434-438

詳細
抄録

症例は45歳女性で, 労作時呼吸困難を主訴に当科を受診し, 光線過敏症, 口腔潰瘍, 関節炎, リンパ球減少, 抗核抗体陽性よりSLEと診断された。胸部X線写真では両側中下肺野に粒状網状影を認めたが心拡大はなく, 心電図は非特異的な陰性T波を認めるのみで, 腎機能は正常, PaO_2は85.6Torrであった。しかし, 気管支鏡検査後に患者はショックに陥り, 翌日に急性心不全で死亡した。剖検肺ではdiffuse alveolar damage(DAD)と肺水腫が存在した。検査後の心電図, 心エコーの異常にもかかわらず, 心筋組織は病理組織学的に正常で, 心筋炎や血管病変は指摘できなかった。SLEのDADや心機能異常に加え, 気管支鏡検査による低酸素血症が心不全, 肺水腫の誘因になったと考えられた。心不全, 肺水腫はSLEの気管支鏡検査における合併症として留意する必要がある。

著者関連情報
© 1998 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top