1998 年 20 巻 5 号 p. 439-442
症例は29歳, 男性。喘鳴・呼吸困難のない慢性咳嗽で受診し, 胸部X線正常, 喀痰中好酸球陽性, Dmin 22.5単位, 肺炎マイコプラズマ抗体価320倍より, 非喘息性好酸球性気管支炎と肺炎マイコプラズマ気管支炎の合併と考え, マクロライド系抗菌薬とH_1受容体拮抗薬等で治療し軽快した。約8ヵ月後再び慢性咳嗽で来院した。肺炎マイコプラズマ抗体価160倍と抗体価上昇の遷延があり, 肺炎マイコプラズマ感染症の持続感染の可能性が推定され, さらにDmin 18.7単位と気道過敏性は前回より亢進していた。喘鳴・呼吸困難がなく, 末梢血好酸球数・血清IgE値の上昇, 喀痰中好酸球陽性, 気道過敏性の亢進した慢性咳嗽を主訴とする症例であり, 咳型喘息と診断した。治療にはプランルカスト水和物が有効であった。気道過敏性亢進および咳型喘息の1つの原因として肺炎マイコプラズマ感染症が推定された。