抄録
「東京から肺がんをなくす会」は, 1993年9月より従来からの胸部単純X線写真と喀痰細胞診に加えてヘリカルCTを肺がん検診に導入した.発見肺がん数はCT導入前(1975年9月〜1993年8月)は延べ受診者26,338人中43人(10万対163人)であった.CT導入後(1993年9月〜2001年2月)は延べ受診者13,070人中52人(10万対398人)(実人数49人, 同時多発2人, 異時多発1人)であった.CT導入前の肺門型と肺野型の割合は16%と84%であるが, CT導入後の割合は12%と88%であり, やや肺野型の割合が増加した.組織型では, 腺癌の占める割合がCT導入前は49%であったが, CT導入後は69%と増加した.発見肺がんの病理病期については, CT導入前IA期は42%であったがCT導入後82%となり有意(p<0.0001)に増加した.肺野型肺がんの平均腫瘤径は, CT導入前は30.4mmであったがCT導入後は15.5mmと有意(p<0.0006)に小さくなった.5年生存率は, CT導入前は48%であったがCT導入後は78%と有意(log-rank test : p=0.0018)に改善した.(気管支学.2002;24 : 40-42)