気管支学
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肺がん検診と精度管理
佐川 元保斉藤 泰紀佐藤 雅美桜田 晃遠藤 千顕松村 輔二相川 広一薄田 勝男谷田 達男近藤 丘佐久間 勉
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2002 年 24 巻 1 号 p. 43-47

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抄録
厚生省藤村班では, 全国4地区(岡山, 新潟, 群馬, 宮城)において同時に症例対照研究を遂行した結果, 診断の12カ月前以内に検診受診することの肺癌死亡に関するオッズ比はおおむね0.4〜0.7前後で, 3地区では有意な死亡リスクの減少効果を示した.このことは, 現行の方法でも肺がん検診受診により30〜60%肺癌死亡リスクが減少し得ることを示している.しかしながら同時に行った検診受診からの期間別の検討では, 検診の効果が1年しか持続しないことが判明した.一方, 肺がん検診の精検受診率の調査によれば, 各都道府県では大きな開きがあり, 中には精検受診率が60%前後のところもあり, 全国的には検診の精度の水準は一定していないと思われた.さまざまな検診が台頭すると考えられる今後は, 各都道府県の成人病検診管理指導協議会が中心となって, 「がん検診の精度評価に関する手引き」の中の「チェックリスト」を活用し, 検診団体ごとの精度を調査し, それを住民に公表していく責務がある.また, CT検診に関しては, Overdiagnosis Biasが存在することを理解し, 肺癌死亡減少に関する種々の検討(バイアスの評価, 自然史調査, コホート調査, 比較試験など)を冷静に継続して遂行していくことが必要である.そして, これら検診の精度の向上に関する論議・研究に, 関連学会は積極的に関わり発言していくべきである.(気管支学.2002;24 : 43-47)
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© 2002 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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