抄録
車載型らせんCTを現場にて使用し, 一般住民を対象に3年間で延べ2,024名に対し肺癌検診を行い, 10例の原発性肺癌(人口10万対494例)を発見した.新規受診者と, 継年受診者の間に明かな発見率の差を認めなかった.読影はパソコンベースの読影システムを構築し, パソコン画面上にて行った.過去画像を当該年度の画像と同一画面に表示する比較読影システム, 同一画面上でマウスのクリック操作により読影結果を簡便に入力し, その結果をファイリングする所見入力システムの導入により, 極めて能率的な検診作業を行うことができた.肺癌検診にCT検査を導入するためには, 偽陽性率の低減, 発見された小型陰影に対する診断アプローチ等多くの問題があるが, 本研究における検診システムの開発は, 膨大な画像情報を管理し検診の作業能率を向上させることにより, CTによる肺癌検診の実用化に貢献するものと期待される.(気管支学.2002 : 24 : 48-51)