気管支学
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喀痰細胞診における診断率向上のための工夫
池田 徳彦大平 達夫辻 興加藤 靖文吉田 浩一奥仲 哲弥平野 隆中村 治彦米山 一男小中 千守加藤 治文
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2002 年 24 巻 1 号 p. 52-56

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抄録
喀痰細胞診は中心型肺癌を発見する唯一のスクリーニング法である.本検査の普及以後, 中心型早期肺癌の発見数は飛躍的に増加し, 多くが内視鏡的レーザー治療などで非侵襲的に治癒するに至った.しかし, 中心型肺癌のすべてで喀痰中に癌細胞が出現するわけではない.また異型化生においては形態学により異型度を診断し, その結果によって精査あるいは経過観察されている.しかし現時点では癌に進行するものか, 正常に復していくものかを選別することは一切考慮されておらず, 症例の個別化が望まれる.喀痰細胞診の感度向上や症例ごとの癌化リスク評価のため, 形態学に加え喀痰中の遺伝子解析やバイオマーカーの測定が試みられている.また喀痰細胞診で要精査となった症例に対する局在診断は問題点のひとつである.極めて早期の病変は所見に乏しく, 内視鏡で発見困難な場合がある.現在, 蛍光内視鏡が行われるようになり, この様な病変の診断にも進歩が見られている.将来的な喀痰細胞診の進歩に伴い, 更に洗練された診断法の開発も課題である.(気管支学.2002;24 : 52-56)
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© 2002 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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