気管支学
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当院における気管・気管支ステント留置症例の検討(<特集>気道狭窄に対する気管支鏡下治療)
石渡 俊次鈴木 道明加藤 雅子清水 孝一坂本 匡一青木 茂行松岡 緑郎
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2004 年 26 巻 2 号 p. 113-119

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抄録

目的.気管・気管支ステント留置の有用性について検討した.対象.1996〜2002年の7年間に気管・気管支ステントを留置した中枢気道狭窄の21例.これら21例に,延べ24回,30個のステントを留置した.原因疾患は原発性肺癌11例,食道癌9例,転移性肺癌(肝細胞癌)1例で,留置したステントはZ stent 22個,spiral Z stent 5個などであった.留置部位は気管13回,気管分岐部1回,左主気管支8回,右主気管支3回,中間幹5回であった.方法.これらの症例の症状としてHugh-Jones分類の変化,その後の生存期間,合併症などからステント留置の有用性について検討した.結果.ステント留置前後での呼吸困難度の変化をHugh-Jones分類でみると,改善8回,不変14回であったが,増悪も2回でみられた.気道狭窄が管外性圧排による例,全身化学療法,放射線治療といった積極的治療が施行しえた例,遠隔転移のない例では,より生存期間が長かった.合併症としては,排痰障害,粘膜浮腫,ステント内腫瘍再増殖がみられた.また喀血が食道癌の3例でみられた.ステント留置後の平均生存期間は203±300.2日(10〜1049日)であった.結語.悪性気道狭窄に対するステント留置は患者のQOLの改善と保持の上で有用であることが示唆されたが,重大な合併症もありうるため適応症例を慎重に選び,合併症の発生に十分注意する必要がある.

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© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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