気管支学
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中枢気道狭窄に対する気管支鏡下治療 : Nd-YAGレーザーとステント(<特集>気道狭窄に対する気管支鏡下治療)
横手 薫美夫
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2004 年 26 巻 2 号 p. 126-131

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抄録

背景,目的.気道病変の標準的治療は外科治療であるが,気管支鏡下の治療も最近では根治や手術不可能例の改善の目的で行われており,悪性中枢気道病変に対するステント治療も標準的な治療法となってきている.我々は中枢気道病変に対し,レーザー治療およびステント治療を行ったので,その治療の妥当性につき報告する.対象.気管支鏡下Nd-YAGレーザー治療が行われたものは14例あり,内訳は気管腫瘍6,肺癌1,気管切開後の肉芽狭窄5で,Nd-YAGレーザー治療は0.5秒,40Wを局麻下気管支鏡で行った.一方,手術不可能な中枢病変による高度狭窄例3例のEMSと10例のDumonステントの留置を行った.結果.良性病変では気管腫瘍3例と気管切開後の肉芽狭窄5例がいずれも根治昇華が可能であった.残る3例の悪性気管腫瘍はPS不良のためレーザー治療を選択し良好な結果を得た.ステント治療を行ったものは全例ステント留置が可能で,ステント挿入後はただちに呼吸困難が改善された.EMS留置後食道癌の1例が化学療法によく反応し,一時退院可能であった.また,再発性多発性軟骨炎の1例が2年後にステントの気管壁穿孔,大量の喀血で失った.Dumonステントは7例が悪性,2例は良性疾患,1例は気管支断端瘻に対して留置を行った.このうち3例は中枢気道狭窄が強く,PCPSを併用し,すべてステント挿入後は満足するQOLを得た.また,気管支瘻には右脚をシリコンで閉鎖した特別注文のY字型Dumonステントで気管支瘻閉鎖を行い,気管支瘻の閉鎖ができた.結論.レーザー治療は根治治療,補助治療を含め,気道病変には第一選択される治療法と考える.一方,Dumonステントは硬性鏡を必要とするが,気道開大,固定性は良好で,移動,抜去が可能なことは利点で,化学療法や放射線治療が行え,QOLを改善させることができる.

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© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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