気管支学
Online ISSN : 2186-0149
Print ISSN : 0287-2137
ISSN-L : 0287-2137
経気道的酸素投与下の気管内局所酸素濃度の検討 : 気道内の発火事故防止のために
相川 広一佐藤 雅美遠藤 千顕桜田 晃山中 澄隆宮本 彰近藤 丘
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 26 巻 2 号 p. 154-158

詳細
抄録

背景と目的.気道の閉塞や狭窄の解除を目的とした気管支鏡下のレーザー治療はQOLの向上に寄与し広く行われている.これらの手技は,発火事故の危険性をはらんでいるが,気管支鏡検査時の気道内酸素濃度に関する論文の報告はほとんどない.そこで今回我々はより安全にレーザー治療を施行するために気管支鏡検査時の気管内酸素濃度を測定した.対象と方法.17例(男性15例,女性2例)で気管支鏡施行時に気管内酸素濃度を測定した.気管チューブを挿管し,酸素を投与した.酸素投与量は,なし(室内気),酸素投与1l/min,3l/min,5l/minの各条件とした.酸素濃度測定用プローブは気管支鏡チャンネルを通して気管分岐部口側に挿入した.また,酸素投与を中止し室内気の値に戻るまでの時間も計測した.結果.吸気時の気管内酸素濃度の平均は室内気では20.8%,1l/minで23.4%,3l/minで29.8%,5l/minで39.2%であった.呼気終末酸素濃度の平均は室内気で15.8%,1l/minで17.5%,3l/minで21.2%,5l/minでは26.5%であった.5l/minの酸素投与から室内気の値に戻るまでの時間は,平均46.9秒であった.結論.気道発火による事故を防ぐために,気道内酸素濃度に注意を払う必要がある.気道内の酸素濃度は,たとえば,3l/minの酸素投与で25%と,容易に気管チューブの発火を起こす値にまで達していた.リアルタイムに気道内酸素濃度をモニターしながらのレーザー照射がより安全であると思われた.

著者関連情報
© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
前の記事 次の記事
feedback
Top