背景.稀であると思われる,膀胱癌の気管支内転移もしくは気管支周囲リンパ節転移の気管支内浸潤により大気管支狭窄をきたした1例を経験したので報告する.症例.69歳の男性で,63歳時に膀胱癌の手術の既往があった.血便を主訴に当科を初診したが,呼吸困難があり,胸部CTにて右主気管支から中間幹にかけての腫瘤影,また,中間幹周囲のリンパ節に腫脹が認められた.気管支鏡を施行したところ,右主気管支内をほぼ閉塞する腫瘤を認めた.硬性鏡下に中間幹に残存していた腫瘍を切除し,ファイコン気管支ステントを留置した結果,呼吸困難は消失した.気管支鏡後,咳嗽により喀出された腫瘍の病理組織像は,膀胱癌原発巣の病理組織像と類似していたため,膀胱癌の気管支内転移もしくはリンパ節転移の気管支内浸潤と診断した.結論.気管支内をほぼ閉塞する腫瘤が存在した場合,硬性鏡下に腫瘍を切除し,ステント留置を行うことにより症状改善が認められることが多く,有効であると考えられた.