気管支学
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アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の合併が疑われた肺アスペルギローマの1例
新美岳前田浩義服部典子阿知和宏行別所祐次小栗鉄也村松秀樹佐藤滋樹
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2004 年 26 巻 7 号 p. 649-653

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抄録

症例.53歳,男性.主訴は発熱,咳嗽,血痰.以前に他院にて肺アスペルギローマと診断され抗真菌剤の投与を受けたことがある.今回左上葉肺尖部に菌球と思われる陰影を認めるとともに,左肺の浸潤影も認められた.喀痰培養よりアスペルギルスが陽性であった.気管支鏡所見では気管支内に粘膜の浮腫様所見とともに白苔を認め生検にて好酸球の浸潤を伴う肉芽組織を認めたが真菌は認めなかった.抗真菌剤とステロイドの投与を行い臨床所見は改善を認めた.結論.本症例は肺アスペルギローマにアレルギー性気管支肺アスペルギルス症がオーバーラップした病態が考えられた.アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(allergic bronchopulmonary aspergillosis:ABPA)は真菌類であるアスペルギルスによりアレルギー反応が惹起され喘息を引き起こす疾患として認知されている.従来Rosenbergらの診断基準が臨床的に用いられステロイド投与を主体とした治療が推奨されている.

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© 2004 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
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